コミッションのイラスト系出品を5桁は見ている猫戸すずです。
今回、そんなコミッションの出品の大まかな価格をまとめた「コミッション価格の大まかな相場」を作成させていただきました。
ざっくりまとめると「このレベルなら基本料金がこれくらい」の目安だと思ってください。コミッションでよく見かける価格であり、大まかな相場です。
「これ以上はガチプロ価格なので企業に持ち込みましょう」のラインも提示しています。
最近円安だ物価高だで余計に自分の身に合わない価格をつけている方が目立ってきたので、ぼったくり出品者を見分ける目安にしていただければと思います。
コミッションで相手の価値に見合わない高すぎる金額を出していないか?改めて確認しましょう!
※前置きが長めです。本題が見たい人は「条件」まで飛ばしてください。
イラストの価格の決まり方
イラストの価格の決まり方は「技量」だけではありません。というより、技量は「あって当たり前」です。
イラストの値段は技量以外のところで決まっています。具体的にはこの二つです。
- 実績
- 拡散力(特に商業関係の場合)
たくさんの商品が並ぶコミッションでは特にそうなのですが、値段が高くなる要素は技量ではなく実績と拡散力です。つまり、「ネームバリュー」。たとえ技量があったとしても実績と拡散力がなければイラストは高く売れません。同じくらいの人はたくさんいますから、他の安い人に流れるだけですね。
あなたのガチファンです!
どうしてもあなたに描いてほしいです!
2年待ちでもいいです!
↑イラストで高く売れている人は技量がある人ではなくこういう客がついている人です。
実績の目安
実績は個人依頼実績よりも企業依頼実績の方が目安になります。
- 個人依頼実績なし~2桁の初心者
- 個人依頼は来るが企業依頼が来ないアマチュア
- 名前が出せない企業依頼は来るセミプロ
- 名前が出ている企業依頼がそこそこあるプロ
- 超売れた企業依頼実績を持つガチプロ
の5段階です。ガチプロはコミッションにはあまりいませんので、実質4段階だと思ってください。
個人依頼実績なし~2桁の初心者
はじめたてほやほやの人。それ以上でもそれ以下でもない。
身内でもない限りリスクしかないので問答無用で避けた方がいいレベルです。
個人依頼は来るが企業依頼が来ないアマチュア
個人依頼引き受け歴1年以上くらいの人が多め。
副業絵師率高め。同人で有名だったり同人でそこそこの実績があるけど企業依頼の経験がない人はこのランクです。PBWで人気な人もたいていはこのランク。
名前が出せない企業依頼は来るセミプロ
いわゆる実績非公開系の名前が出ない企業依頼を受けているタイプの人。
クレジットはされていないが下請けとして受けたことがある人です。
「企業依頼の経験あります!」と宣伝できるのでアマチュアの中でも上の方、ということで「セミプロ」です。
形として出せる企業依頼実績はまだないので、プロとは言いがたいです。
(個人依頼やってないけど企業依頼が来た!という人も実は結構います。ガチプロを狙うならその方向性を狙った方がいいと思います。その方が個人からの怒りを買わないので。)
名前が出ている企業依頼がそこそこあるプロ
「名前が出ている企業依頼」というのは
- ソシャゲのカードイラスト
- カードゲームのイラスト
- ライトノベルのイラスト担当
など「イラストレーターだれそれ」みたいな感じで作品と一緒にクレジットされている人です。
「プロ」と呼べるのはこのレベルからだと思います。コミッションでもたまにお見かけします。
(コンテストに応募して受賞してデビューしたらこのランクからスタートです。)
超売れた企業依頼実績を持つガチプロ
ぶっちゃけこのレベルはコミッションにはいません。コミッションしなくても依頼が来ますからね。
ソシャゲとかCMとかで名前をよく見かけるのはほとんどがこのレベルの人です。
拡散力
拡散力はFGOやFEHなど「たくさんのイラストレーターさんが参加しているようなソシャゲ」がわかりやすいと思います。「この人がイラスト参加してる!」がそのまま作品の宣伝になるようなパターンですね。
拡散力のあるイラストレーターさんに参加してもらうことで、作品の宣伝になります。企業依頼、特に名前が出るタイプのものは宣伝力も込みで依頼先を検討していることが多いです。
拡散力は青い鳥だったTwitterと呼ばれていたXのフォロワー数を基準にします。コミッションやってるイラストレーターさんほとんどやってるので。脱出している人は脱出先でも可。
- 3桁以下(999以下)
- 4桁(1000以上)
- 5桁前半(10000以上)
- 5桁後半(50000以上)
- 6桁以上(100000以上)
の5段階で評価します。だいたい技量も比例しています。例により6桁以上はコミッションにはあまりいません。
(このあたりで気がつくと思うのですが、コミッションやってたりPBWが中心の人ってほとんどが一番下の「3桁以下」のグループなんです。4桁以上の人がいたらラッキーみたいになりつつあります。)
コミッションによくいる人はこのレベル
コミッションでイラストを出品している人はだいたい
- 実績:個人依頼は来るが企業依頼が来ないアマチュア
- 拡散力:フォロワー3桁以下(999以下)
のレベルであることが多いです。それ以上の人がいたら目をつけておけレベル。
ちなみに、イラスト以外だと
- 実績:名前が出ている企業依頼がそこそこあるプロ
- 拡散力:4桁(1000以上)
が基本レベルになります。特に一般向けのカテゴリはレベルが高い人もそこそこいる印象で、たまに「ガチプロ」もいます。
技量は皆さんあまり変わりがありませんので(せいぜいどの画風が向いてるとか、どのテイストが得意とかそういうレベルの違いしかないです)、実績・拡散力ともにこのレベルであればコミッション基本相場価格で受けることをおすすめします。もし相場以上の価格で出していたらスルー推奨です。
逆に、フォロワーが4桁いるとか企業依頼実績があるとかであればその分値段が上がります。
コミッションは「プロに依頼」とかそういうキャッチコピーがついていますが、イラストレーターの場合は実際に出品者として登録しているのはほとんどがアマチュアです。コミッションで依頼する場合はほとんどの場合相手はプロではなくアマチュアだ、ということを念頭に入れましょう。
(公開募集系はまともな人に依頼をしたい場合は避けることをおすすめします。実績作りのためにはじめてのお仕事を探している人か、他の案件が炎上して自分に直接依頼が来なくなった人が応募しているケースが非常に多いです。というか、それ以外のまともな人が応募しているケースをほとんど見たことがない気がする……。)
よくある間違い
すず
自分よりこの人下手で3000円か、なら自分のイラストは6000円かな!
↑よくある間違いです。
その人は下手であっても実績がありませんか?フォロワーたくさんいませんか?独特な画風がウリだったり、ヘタウマ系の人ではありませんか?
(マンガでわかる!FGOのリヨ、ポプテピピックの大川ぶくぶあたりがわかりやすい例です。どちらもいわゆる綺麗系のガチ塗りではありませんが独特の画風がウリになっていて、どちらの方も超売れた企業実績を持っています。)
実績ゼロの人はどれだけ技量があっても初心者価格でなければ売れません。イラストの価格を決める要因は技量ではないからです。実際技量はあるけど他の部分が足りていなくて「この人半額が適正価格だよな?」みたいな人、結構います。
コミッションには相場があります。「どうしてもあなたの絵がいい」と言われるようなレベルではない限り別の人に流れるだけです。同じ価格で同じくらいの絵を描ける人はたくさんいます。
コミッションでイラストを頼む場合は「出品している人はアマチュアレベルの人が多い」ということを念頭に入れて探すことをおすすめします。プロの商品が欲しい場合はイラスト制作会社に依頼しましょう。
Q.企業ではなく個人なのですが、ご依頼は可能ですか?
A.はい、もちろん可能です。
個人の方からのご依頼であっても、企業様からのご依頼と同様に、デザイナー・ディレクターご用意して対応させていただきます。
ジーアングルのヘルプページより(出典はURL)
個人依頼案件でも引き受けている制作会社さんは存在します。そういったところにご依頼することを検討しましょう。
- Q本当に個人依頼を受けているんですか?
- A
「制作実績」→「Vtuber用コンテンツ検索」で絞り込んでください。「個人のお客様」となっている実績がたくさん出てきます。
- Qコミッションの価格と比較して値段高すぎませんか?
- A
コミッションの価格が安いのは登録しているイラストレーターがほとんどアマチュアであることが原因です。プロに依頼したいならそれ相応のお金を出しましょう。お金が出せないならアマチュアクオリティで我慢しましょう。
(補足:よく「イラストの値段安すぎない?」と騒ぎになりますが、その反論として「実績積め」「全体のレベルを上げろ」と言われています。それもそのはず、イラスト以外のカテゴリ、特にガチプロが多い作曲系や資格がなければ仕事ができない士業系を見ているとよくわかりますが、イラストレーターは全体的に出品者のレベルが低いです。そのせいで値段が安くなっているので、値段が安いだの評価されてないだのと騒ぐ前に自分の価値を上げましょう。)
条件
長い前置きはこのへんにして本題入ります。
これから紹介する価格は以下の条件であるものとします。
- 商用利用なし
- 背景描写なし
- キャラクターは一人
- 小道具類など、追加料金になりそうなものはなし
- キャラクターデザイン費と手数料は「込み」(別料金の人は例外なく地雷なのでスルー推奨)
要するにコミッションの「基本料金」ですね。コミッションの検索画面を見ながら楽しんでいただければと思います。
Vtuber用Live2Dイラストは「パーツ分け立ち絵まででモデリングはまた依頼するところから」なのか「モデリングまで全てやれるのか」で変わってきます。どこまでその人が担当するかで大きく異なってきますので、今回は取り上げません。
アイコンイラスト
まずはアイコンイラストから。
ここでのアイコンイラストは「バストアップサイズ」であるものとします。具体的に言うと「胸の高さまでのイラスト」です。
アイコンサイズとひとことで言っても「顔周りだけ描く人」「肩まで描く人」とさまざまなのですが、一番多いのがどんな環境でもアイコンとして使いやすい「バストアップサイズ」なのでバストアップサイズであるものとします。
1000円:ガチ初心者がはじめて依頼を受けるときの価格。
2000円:かけだしクラスが出している価格。フォロワー3桁以下で技量があまりない人の価格。
3000円:コミッションにおける基本価格。フォロワー3桁以下・企業依頼未経験者は高くてもこの値段まで。
4000円:フォロワー4桁~5桁前半の人がよく出している価格。フォロワー3桁なら名前が出ている企業実績がなければスルー推奨。
5000円~8000円:フォロワー5桁後半、またはフォロワー5桁前半で名前が出せる企業依頼実績がある人がよく出している価格。フォロワー4桁以下であれば問答無用でスルー推奨。
1万円以上:イラスト制作会社が引き受けているガチプロ価格。コミッションでは問答無用でスルー推奨。(このレベルの予算を出せるならイラスト制作会社に頼んだ方がよい。)
コミッションではだいたい3000円が相場です。3000円より高い人は「コミッション標準」よりプラスになる要素がどこかにないかを確認してください。その人が実績と拡散力を持っていないか、商品内容がちょっと豪華じゃないかなど。特になければスルー推奨です。
「商品内容が豪華」ってなんだ?→最初から商用利用がセットになっていたり、表情差分つきだったりする分基本料金が高めの方のことです。この場合基本料金+セット内容で高くなっているので、セット内容を考慮して金額を算出する必要があります。
よく見るケースは、コミッション相場が妥当なランクの人が最初から商用利用をセットにしていてアイコン1枚5000円など。
「企業依頼実績なし・フォロワー3桁」でアイコンイラストが5桁だったりする人がたま~にいるんですが、ロクなことがないのでスルー推奨です。実際コミッションでも売れていません。
このレベルなら相場の3000円で受けている同じくらいの人がたくさんいます。この人は自分の価値をわかっていないです。
見ればわかりますが、コミッションのイラストレーターはレベルが低いのでガチプロ価格の1/3が相場です。
自分に実績と拡散力がないのに1万円!とか言っている人は身の程知らずなのでスルー推奨です。
これが他カテゴリだと「1万円」の価格の商品をガチプロが出しています。イラストの場合は「アマチュアがプロのそぶりをして1万円」を提示しています。同じ1万円でも価値が違いすぎますね。
高めの価格の人はプロっぽいアピールが商品名に入っていなっていない限りはスルー推奨です。
全身立ち絵
続いて、TRPGプレイヤーがよく依頼する全身立ち絵です。
3000円:ガチ初心者がはじめて依頼を受けるときの価格。
5000円:かけだしクラスが出している価格。フォロワー3桁以下で技量があまりない人の価格。
8000円~10000円:コミッションにおける基本価格。フォロワー3桁以下・企業依頼未経験者は高くてもこの値段まで。
15000円:フォロワー4桁~5桁前半の人がよく出している価格。フォロワー3桁なら名前が出ている企業実績がなければスルー推奨。
20000円~25000円:フォロワー5桁後半、またはフォロワー5桁前半で名前が出せる企業依頼実績がある人がよく出している価格。フォロワー4桁以下であれば問答無用でスルー推奨。
3万円以上:イラスト制作会社が引き受けているガチプロ価格。コミッションでは問答無用でスルー推奨。(このレベルの予算を出せるならイラスト制作会社に頼んだ方がよい。)
コミッションでの相場はだいたい8000円から1万円くらいです。
全身になると急に値段を釣り上げる人が結構いるのですが、描写範囲が広がることで値段が上がることを考慮しても「アイコンイラストの2.5~3倍くらい」が相場です。
Skebのおまかせ金額
コミッションとは違う気がしますが、Skebのおまかせ金額の目安です。
あくまで「よく見る価格」ですのであしからず。
5000円:かけだし、Skebでの依頼経験がない人など。
1万円:フォロワー3桁~4桁くらい。コミッションでよく見かけるレベルはこの価格帯の人。
1.5万:フォロワー5桁前半以上多め、企業依頼の経験はあるが名前は出ていない人が出している価格。
2万円:フォロワー5桁後半以上多め、企業依頼の名前が出るような実績がある人がよく出している価格。
3万円以上:フォロワー6桁以上、または超売れた企業依頼実績を持つガチプロ。
実績皆無(一度もSkebでリクエストが来ていなかったり、企業案件経験がないなど)なら1万円、そうでないなら2万円を超えるならちょっと考え直した方がいいです。実績と技量に対して値段が高すぎます。
(たまにSNSをまともにやっていなくて「企業依頼の名前が出るような実績があってもフォロワー3桁」みたいな人がいます。その場合は中間の1.5万くらいのケースが多めです。)
【おまけ】PBWでの相場
PBW(プレイバイウェブ)での相場もおまけとして紹介しておきます。
バストアップ=3000円
顔アイコン=1000円
全身イラスト=4000円
トミーウォーカー、パンドラパーティープロジェクト(通称PPP)どちらも同じ価格です。
トミーウォーカーは「★」で値段を表記するシステムになっています。★1個=1000円です。
※その他の商品についてはリンク先参照。
パンドラパーティープロジェクトはRC表記で、1RC=10円です。
※その他の商品についてはリンク先参照。
まとめ
コミッションに登録しているイラストレーターはほとんどがアマチュアです。
コミッションで依頼しているが価格帯を考慮すると制作会社さんに持ち込んだ方がいいような案件は結構あります。
そして何より、コミッションでイラストレーターを探すときに気をつけてほしいのは「自分の身の丈に合わない価格で出品している人ではないか?」ということです。
一番信用がなくなるのは高価格で受けて価格相応の価値を生み出せずキャンセルになったりイラストがお蔵入りになったときです。
イラストの値段を検討するときに重要なのは技量よりも「実績」と「拡散力」です。
コミッションで依頼先を探すときは身の丈にあった価格で出している方に依頼するように心がけましょう。高すぎる値段を提示しているアマチュアに対して高額を払うくらいなら企業に持ち込みましょう。