副業やりたい!自分の趣味をお金にしたい!という人で、
とりあえずコミッション登録してみた!
という方はよくお見かけします。
その中でも、「やっぱり無理だった!」という方も非常によくお見かけする印象です。
今回はそんな「やっぱり無理だった!」について。どうしてそんな人が生まれるのかについて解説させていただきます。
大惨事になるカテゴリは決まっている
先に結論からお話します。
「コミッションやってみたかったけど無理でした!」がよく発生しやすいカテゴリは決まっています。
「アーティスト」と「下請け」の両方が存在するカテゴリです。
「アーティスト」が「下請け」の仕事を受けた場合、もしくは「下請け」が「アーティスト」の仕事を受けた場合、クライアントとトラブルになって大惨事になることが多いですし、「やっぱり無理だった!」になることも多いです。
「アーティスト」と「下請け」ってなんだよ!ってなったと思いますので、これから解説していきます。
クリエイターには二種類ある
クリエイター、便利な言葉ですよね。
とりあえず「クリエイター」と言っておけばなんかやってる人なんだな、と認識してもらえます。
そんなクリエイターですが、「アーティスト」と「下請け」の二種類が存在します。
誰のために制作をするのかがポイントです。
アーティスト
自分のために制作をする人です。
SNSでオリジナル作品を発表している人、とイメージするとわかりやすいかと思います。
自分の作品を自由に作って発表している人、という感じです。
該当:漫画家、小説家、シンガーソングライター、フォント制作者
下請け
こちらはアーティストとは逆で、誰かのために制作をする人です。
大きく分類すると一応「クリエイター」ですが、クリエイティブを仕事のため・相手のためと割りきって制作にあたっています。
クライアントに頼まれて作品を制作する人、という感じです。
該当:PBWイラストレーター、ライター、作曲家、デザイナー
コミッションの仕事について
コミッションの仕事ってなんなんだ?となると思います。
答えはズバリ、コミッションで発注されている仕事は「下請け」の仕事です。コミッションに登録するということは「下請けとして仕事をする」ことを意味しています。
曖昧になりやすいのはイラストですが、キャラクターデザインから担当する案件であっても下請けの仕事です。
キャラクターデザインから依頼されていたとしても、そのキャラクターは自由にデザインしていいオリジナルキャラクターではありません。ほぼ必ずクライアントからの指定があります。
場合によってはデザイン画のようなものは存在しないがガチガチに指定されていてデザインの余地がほとんどないものもあります。
他のカテゴリも同様です。デザインであれば何かに合わせてデザインをする仕事がほとんどなはずです。作曲も「このキャラの主題歌」とか「このキャラに合わせた配信用BGM」とかが多いはずで、「アナタの作風を前面に出したオリジナル曲を作ってください」といった依頼はほとんどないはずです。必ず指定されるモチーフがあります。
アナタは「アーティスト」か「下請け」か?
以上を踏まえて問います。
アナタはアーティストですか?それとも下請けですか?
イラストレーターを例にするなら、
一次創作をゴリゴリにやっていて自分でコミティア(※一次創作オンリー同人誌即売会のこと)出てます!みたいな人はアーティストです。誰かにこういう絵を描いてくださいと頼まれて描いている人は下請けです。
デザイナーであれば、
自分でフォントや背景素材を作っている人はアーティストです。広告のデザインなど何かに合わせてデザインをしている人は下請けです。
アナタはどっちが向いているでしょうか?
イラストレーター向け診断チャート
特に「アーティスト」と「下請け」の境界があいまいになってしまっているのはイラストレーターです。(他の界隈はわりとハッキリわかれているか、下請けだけが存在しアーティストが存在しなかったりします。)
- Q世間的には超人気だけど自分は知らないキャラのファンアートをリクエストされた
- A
世間で需要があるなら描く!→アナタは下請けです。
描きたくない気持ちの方が強い!→アナタはアーティストです。
- Q誰かの「代わり」の影武者案件の自分の名前は出ない仕事を依頼された
- A
それでもお金になるなら描く!→アナタは下請けです。
自分の名前が出る仕事だけを受けてこの仕事は断る!→アナタはアーティストです。
自分が好きではないもの(もういっそのこと「自分が好きな界隈の一番嫌いなキャラ」とでもしましょう)を依頼されたとして、アナタは仕事と割り切って描けますか?ということです。描けるなら下請けです。描けないならアーティストです。
その他カテゴリ
「自分のオリジナリティを出して自由に制作をしたい」のであればアーティスト、「クライアントのために制作をする」のであれば下請けです。
どうして大惨事になるのか?
特にわかりやすいイラストレーターを例にします。
アーティストが下請けの仕事を受けたとします。
するとどうなるか?好き勝手に描いたものをクライアントに提出してしまい、「こんな指定はしてない!」とクライアントに怒られます。
逆に、下請けがアーティストの仕事を受けたとします。
するとどうなるか?「オリジナリティのある作品」を出せなくて、「このお仕事はできません」となるわけです。
コミッションで多いのは前者のアーティストが下請けの仕事を受けてしまったタイプです。
この場合、自分が「こっちのほうがいい」と思ったらドンドン指定を変えてしまうので、クライアントが作成した依頼書をガン無視した作品ができあがってしまうんですよね。
アーティストとしては間違っていませんが、クライアントからは怒られます。「こんな指定はしていません!描き直してください!」と。場合によってはキャンセルにされることもあります。
それもそのはずです。求められているのは指定に沿ったイラストであってあなたのオリジナリティを出したイラストではないからです。「こんなイラストを頼んでいない!」となって怒られます。
後者の「下請けがアーティストの仕事を受けてしまったタイプのトラブル」はあまり起きません。というのも、下請けタイプの人は自分がアーティストではないとわかっているので、アーティストっぽい仕事が来たら最初から「できません」と断ります。
それぞれに対して適した売り方がある
アーティストと下請け、それぞれに対して適した売り方があります。
アーティストの場合は
- SKIMAのキャラ販売(Adopt)に出品する
- Boothで有料素材として販売する
- NFTアートとして出品する
- 自分のサイトを作りフリー素材として公開し、広告収入を得る
下請けの場合は
- PBWイラストレーターとして登録する
- コミッションサービスに商品を出品する
- イラスト制作会社の提携イラストレーター審査を受ける
- ゲーム会社などに就職する
といった感じです。
アーティストとして活動したい人にとってコミッションは根本から売り方が違います。コミッション販売者ではなくアーティストとして活動するべきです。
アーティストタイプの人がコミッションに登録していると、そうとは知らずにクライアントが依頼してしまい、いざラフを提出されたときに「こんなもの頼んでない!」とトラブルになります。
特に承認欲求で生きているタイプの人にとっては「こんなもの頼んでない!」と怒られるのは相当なストレスになるはずです。
イラストレーターさん、よくクライアントに褒められた嬉しい!と言っていますが、下請けを求めている人は指定通りのイラストを描けたときだけ「イメージ通りです、ありがとうございます!」と感謝したり、「とても素敵で感動しました!」と褒めてくれます。
「アナタの絵ならなんでもほしい!」みたいな人、いわゆるアナタのファンはコミッションにはまずいません。全肯定してヨシヨシしてくれるファンが欲しいならコミッションをするべきではありません。
コミッションぶっちゃけ話
デザイナーや文章系や作曲系はコミッションで受ける仕事は下請け仕事である(クライアントワーク)とはっきりわかった上でコミッションに登録しています。なので特に問題にはなっていません。
問題になるのはイラストレーターなのですが、
下請けタイプの仕事をきちんとこなせる人は超激レア人材と化しています。
コミッションって下請けの場所だよね?はいそうです。下請けの場所です。コミッションで発注してる人ってだいたい下請けをしてくれる人を探してるんだよね?はいそうです。その通りです。
でも、イラストに限って言うと、登録している人はほとんどがアーティストじゃね?というくらいアーティストタイプの人がめちゃくちゃ多いです。特に下請けタイプのお得意先を探せていない新規の人が陥りがちなのですが、そこそこ実績がある人を選んでるはずがアーティストタイプばかりを引いてしまい自分の欲しいイラストが一向に完成しない!なんてことになります。(しかも評価だけでは見分けがつかないからクライアントがイラストに詳しければ詳しいほどイラストレーターから見て地雷案件みたいなことになりやすい!)
その結果コミッションできちんと言われたとおりに仕事ができる人はひとにぎり、みたいな状態になっています。それもそのはずです。アーティストが無理して下請け仕事を受けようとしている状態ですから、うまくいくわけがない。
きちんと下請けの仕事ができる人に対しては依頼が来ない!みたいな状態にはなっていません。むしろ依頼が殺到していて仕事を自由に選べる状態です。
たまーーーにアーティストと下請け両方やれるタイプの人がいるのですが、下請けができる人がほとんどいないので下請け専門だけでは引き受けきれず、両方やれるタイプの人にも下請けタイプの仕事が殺到しています。その結果自身の創作活動に全く手が回らなくなってしまい、「仕事絵ばっか描いてて自分の絵が描けない……」みたいな状態になっています。
需要と供給のバランスのせいですね。こればかりは下請けができるイラストレーターさんが増えない限りどうにもならないです。
アーティスト路線の人が下請けの仕事を無理して受けようとすると、たいていはお互いの認識違いからトラブルになります。お互いにとってアンハッピーな結末が待っています。
まとめ
自分の好きなものだけを描いていたい・自由にイラストレーターとして活躍したい人はコミッションに登録すべきではないと思います。(ある程度テーマだけ与えて自由に制作させる場合は例外ですが、そのクラスはコミッションに登録してなくても直接依頼が来るのでは……?というレベルです。)
キャラ販売でだけ活動する・自分の作品をオークションで売るなど、「自分の作風を気に入った人に買ってもらう」方が向いています。実際SKIMAではコミッションはやっていなくてもキャラ販売だけでプラチナランクなんて人も結構います。(そういう人はたいてい「キャラ販売でのみ活動中。コミッションは受け付けていません」などと記載があります。)
アーティストタイプの絵は売れないとは言っていません。売り方が違うのです。少なくともコミッションでは売れません。もし売れたとしてもコミッションのクライアントは下請けを求めているので、たいていはトラブルになります。
自分はどのタイプなのか?今一度見直しましょう!